[特集ワイド1]競争激烈、「男性型脱毛症」研究最前線--ついに飲み薬
2001.06.14 東京夕刊 2頁 総合 (全2,965字) 

 ◇ついに飲み薬/リンゴからも
 男性の身近な敵、薄毛や抜け毛に悩む人は推定で1000万人。うち500万人が何らかの育毛剤・発毛剤を使用しているという。品切れが続出した「リアップ」(大正製薬)はブームが一段落したが、それは新たなブームへのチャンスでもある。600億円規模とも言われる市場に食い込もうと、各社がしのぎを削る。「男性型脱毛症」研究の最前線を取材した。【元村有希子】
 「髪でお悩みの方、治験に参加されませんか」
 5月13日、新聞にこんな全面広告が載った。世界初の「飲む発毛剤」、フィナステリドの臨床試験である。万有製薬が「20~50歳の男性500人程度」を募集したところ、7日間で2500人が志願した。
 フィナステリドは偶然の産物だ。万有の親会社、米メルク社が前立腺肥大症の治療薬を開発する際、頭髪が濃くなる副作用が現れたのだ。そこに目を付け、「プロペシア」という名で98年に発売。米国での試験では、1日1ミリグラムを2年間服用した945人の83%に、髪が増えるか抜け毛が止まる効果があった。現在、世界38カ国で使用され、アジアでは中国と日本が未認可だ。
 臨床試験だけに、条件は厳しい。東京都内9カ所の医療機関に月1回程度、計15回通えることが前提。交通費・謝礼として、通院1回あたり7000~1万円が支給される。服用は毎日1錠を1年間。外観が変わるパーマや毛染めはご法度。むろん、他社の育毛剤への“浮気”も許されない。
 効果を正確につかむため「二重盲検法」という方法がとられる。フィナステリドか偽薬(プラセボ)が与えられ、その真偽は知らされない。3人に1人は「本物かもしれない」との期待を胸に偽薬を飲むのである。インフォームド・コンセント(十分な説明に基づく同意)をとるため、文句は言えない。1年間試しても症状が進んだだけ、という気の毒な人も出る。
 副作用もある。米国では性欲減退が1・8%▽勃起(ぼっき)不全が1・3%▽射精障害が1・2%に見られた。ただし偽薬群でも0・7~1・3%に同様の症状があり、万有は「ほとんどないと考えていい」と説明する。マウスでの実験で胎児への影響が確認されたため、女性は服用できない。
 臨床試験は今月始動。順調にいけば03年に厚生労働省申請、04年に発売される。医師の処方が必要だが、バイアグラと同様「生活改善薬」扱いとなり、保険は適用されない見込みだ。負担は毎月5000~6000円程度になるという。万有は「内側からの方が効果がある」と胸を張る。
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 副作用の心配なし、と登場したのが、リンゴ果汁から抽出したポリフェノールの一種「プロシアニジンB-2(PB2)」だ。協和発酵工業は、PB2に育毛作用があることをマウスで確認し、ファンケルと共同で製品化、99年に「毛活林(もうかつりん)」の名前で発売。人での効果を調べ、今月8日に学会発表した。
 実験は協和発酵の男性社員29人(30~57歳)を対象に実施した。00年1~7月、PB2の1%溶液を1日2回(計30ミリグラム)、気になる部分に塗ってもらい、一定の面積の本数と太さを測定した。その結果、5ミリ四方の本数が平均6・68本(最高は18本)増え、直径が60マイクロメートル以上の太めの毛も平均1・99本増えた。偽薬群は逆に、太めの毛が平均0・82本減った。副作用の報告はなく、「頭皮の状態がよくなった」という感想が多かった。ポリフェノールに共通する抗酸化・抗菌作用が、地肌の皮脂や雑菌増殖を抑えたらしい。
 「毛活林」での試験も実施。富山医科薬科大皮膚科の諸橋正昭教授の協力を得て、外来患者21人(男性)に1年間使ってもらったところ、7割の人で毛の本数が増加。13日、東京都内での国際学会で報告した。「毛活林」のPB2濃度は先の実験の1%よりは低いという。
 協和発酵は十数年前から、育毛効果のある成分探しに取り組んできた。果物や野菜など植物1000種類以上を試験し、その結果、リンゴ果汁から取れるPB2が最も有効だった。
 「自然の成分なので副作用がないし、女性にも使える」と、開発にあたった本多伸吉・開発部主査は話す。
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 ◇薄毛を招く周期の乱れ
 人間の頭髪は約10万本。1カ月で1センチ成長し、寿命がくれば抜け落ちる。一方で新しい毛も生え、一定の本数が保たれる。
 髪を作るのは、毛根にある毛母細胞。毛乳頭の指令で血管から栄養を取り込み、細胞分裂を繰り返して新しい毛を生み出す。ほとんどの育毛剤は、この毛乳頭を刺激する効果を狙ったもの。最近の研究で、毛根を覆う「外毛根鞘細胞(がいもうこんしょうさいぼう)」が、毛母細胞の再生をつかさどることが分かってきた。ここを活性化させるといわれるのがPB2だ。
 毛は周期的に生え変わる。これがヘアサイクル。盛んに太い毛が伸びる成長期(2~7年)▽毛母細胞が衰える退行期(2~3週間)▽毛母細胞が死ぬ休止期(4~6カ月)だ。休止期に入ると、洗髪などの刺激で髪は簡単に抜ける。これが自然脱毛で1日80~100本に上る。
 ヘアサイクルが順調なら心配はないが、成長期が短くなったり、休止期から成長期に戻る間隔が長くなったりすると、抜ける勢いに追いつかなくなり、薄毛が目立つようになる。
 乱調には幾つか原因がある。栄養不良や頭皮の皮脂過多、ストレスなどだ。最大のものが男性ホルモン。その一種、ジヒドロテストステロン(DHT)が成長期を短くしたりすることに目を付け、その働きを抑えるのが、万有のフィナステリドだ。
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 ◇マメに洗髪、紫外線避けて--日本毛髪科学協会理事長・渡辺靖さんに聞く
 男性型脱毛症治療の専門家で、日本毛髪科学協会理事長の渡辺靖医師(78)に、注意点や研究の展望を聞いた。
 患者が増え始めたのは、72~73年ごろ。高度成長を達成して日本が豊かになって、男たちが外見を気にするようになったんですね。製薬会社も養毛剤研究に本腰を入れ始めた。
 治療の中心は養毛剤の塗布とスキンケア。洗髪が大切です。シャンプーの量は1プッシュ、手のひらに500円玉大で十分。指の腹で柔らかく洗うこと。これで毛穴の皮脂や汚れは落ちる。つめを立ててゴシゴシ、は逆効果。皮膚を守る角質まではがしてしまう。
 紫外線もよくない。皮脂を過酸化脂質に変え、脱毛を進行させます。ゴルフや野外活動の時は、帽子をかぶること。
 食生活は心配しなくてよい。日本は栄養が豊かだから。ワカメがいいとか黒ゴマがいいというのは迷信です。たばこも控えて、といわれますが、私は若いころから吸っててこれです。
 要するに、遺伝の要素が大きい。それと男性ホルモン。老化の一種ですからね。治療で進行を遅らせることはできるが、やめれば最終的には抜けてしまう。
 とはいえ、若い人は深刻ですから。「結婚できない」と。男性ホルモンが多い証拠なんだから、女性も見栄えより中身で選んであげてほしいね。(談)
■写真説明 「プロペシア」で効果が表れた男性の頭頂部。左から服用前▽1年後▽2年後=米国メルク社提供
毎日新聞

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