2011年03月04日 週刊朝日

「食品と発毛」の第一人者が語る、これが完全「育毛食」だ

 薄毛、それは人類の永遠の悩み--。人生でどれほどの育毛剤に期待をかけ、裏切られてきたことか。でも、実は毎日の食事を工夫するだけで、高い発毛効果が得られるのだという。「食品と発毛」研究の第一人者である名古屋市立大学大学院医学研究科の岡嶋研二教授が、最新の効く「育毛食」を紹介してくれました。
 
 毎朝、枕についている抜け毛を見て、ギョッとしている男性は多いことでしょう。私のもとに相談に来られる方にも、効くという噂だけが独り歩きした高額な育毛剤を購入したり、何百万円もかけて、根拠のない「治療法」を試してしまう例が少なくありません。
 私も8年くらい前、鏡を見るたびにだんだんと髪の分け目から地肌が見えるようになってきて、不安にかられました。何かにすがりたくなる気持ちは痛いほどわかります。
 では、本当に頭髪を増やすためには何をすべきか? プロペシアといった、抜け毛を抑える効果の高い薬に頼るのも一手でしょう。しかし、実は生活の基本である食事にこそ、発毛へのカギがあるのです。
 ワカメや昆布など、古くから髪にいいと言われてきた食品はありました。ただ、私がご提案するのは、これがいいらしいという「噂話」ではありません。研究によって、抜け毛が減り、発毛を促す科学的根拠が、ちゃんと見つかっているものなのです。
 
 ■育毛食の根拠とは?
 人間の多くの細胞には、「インスリン様成長因子-I(IGF-1)」という、細胞の成長を促す物質があり、発毛や美しい肌など、アンチエイジングに極めて重要な役割を持っています。簡単に言うと、髪がふさふさの人はIGF-1の量が多く、薄い人は少ないのです。この物質は残念ながら、思春期を境に自然に減少していくものです。だから、たいがいの人は年齢とともに薄毛になっていくのです。
 しかし、私は研究で、食品の摂取によって胃腸の「知覚神経」を刺激すると、全身でIGF-1が増加することを発見しました。そして、薄毛の人にその食品を食べてもらい、IGF-1を増やし続けた結果、早い人で1カ月で抜け毛が減り、同時に頭髪の量も目に見えて増えたのです。
 つまり、知覚神経を刺激してIGF-1を増やしてくれる食品こそ、「本物の育毛食」なのです。
 これは、男性ホルモンの影響を受ける男性型脱毛症や、ストレスなどによって髪が抜ける円形脱毛症など、ほとんどのタイプの薄毛に効果があるばかりでなく、最近増えている女性の薄毛にも確かな効果が実証されました。
 日本人の食生活は、食の欧米化などにより、伝統的な和食をとる習慣がなくなってきて、IGF-1を減らす食習慣になりつつあります。いますぐそんな食生活を見直して、IGF-1の“貯金”を始めましょう。
 
 ■食事の際の鉄則とは
 育毛食を紹介する前に、まずは食べ方の「鉄則」を知ってください。
 髪は午後10時~午前2時の間に成長します。朝昼晩の3食で気を使うことが理想ですが、中でも夜が一番、摂取効果が高まります。不規則な生活の方は、晩ご飯に意識を置いてください。
 次に、食べ物はよくかみましょう。これまでの研究によって、唾液量の少ないドライマウスの人には薄毛が多いことがわかっています。実は唾液に含まれる「シアル酸」という物質にIGF-1を増やす作用があり、よくかんで唾液の分泌量を増やすことで、発毛を促せるのです。
 また、食べすぎは禁物。特に、早食いの大食いは唾液量も十分に分泌されず、最悪と言えます。
 効果のある食品を食べ重ねることによって、IGF-1は増加しやすくなります。1品ではなく、なるべく多くの育毛食をとりましょう。冷たいものより、温かい食品のほうが、より効果が高まります。
 
 ■王者の中の王者とは?
 最もIGF-1を増やすのは、「唐辛子」です。辛み成分のカプサイシンが、知覚神経を強く刺激します。私は、“マイ唐辛子”を持ち歩いて、外食のときは、唐辛子の瓶の中ブタを取って、大量に投入しているほどですから(笑い)。これから紹介する食品と唐辛子を組み合わせると、高い効果が発揮されます。
 和洋中、食の豊かな日本ですが、やはり日本食は最高の育毛食です。
 まずは、「納豆」や「豆腐」。ご存じのイソフラボンは、唐辛子と合わせると非常に高い効果を発揮します。
 薄毛の男女42人にカプサイシンとイソフラボンを摂取し続けてもらったところ、早くて1カ月で効果が表れ、5カ月後には64・5%の人に抜け毛減少と目に見える発毛が確認できました。
 1日あたりの必要量は、食品に換算すると豆腐2分の1丁と唐辛子小さじ2杯分。これなら家庭でも、無理なく続けられますね。
 主食は「玄米」に切り替えましょう。白米は単なる糖分ですが、コメの胚芽成分に含まれるGABAなどの成分には、IGF-1を増やす作用があります。
 発酵食品は、ヨーグルト、浅漬け、キムチなど和洋問わず、どれもIGF-1を増加させます。居酒屋メニューにもあるキムチ納豆やキムチ豆腐は、最高の一品と言えます。
 みそ汁には、「八丁みそ」を使いましょう。他のみそも発酵食品だからいいのですが、八丁みそはより熟成期間が長いため、イソフラボンのアグリコンという効く成分が、多く含まれるのです。そして海苔、ワカメ、昆布など、海藻類には確かな効果があります。毎朝のみそ汁は、八丁みそ仕立てで、豆腐と海藻類をたっぷり入れ、唐辛子をぱぱっと振りかければ完璧です。
 意外なところでは、「紅鮭」。アスタキサンチンという成分がIGF-1を増やすのです。牛丼チェーンの朝定食にもあるので、独身男性にもうれしい食品です。単品で納豆を加えて食べれば、立派な育毛朝食です。
 私が最近注目しているのは、ワサビです。あのツンとした香りを出す6-MS芥子油という成分に、カプサイシンと同等の高い効果があることがわかり、現在、育毛サプリメントを開発中です。
 この他、卵黄、緑茶、ショウガ、ニンニクも二重丸の食品です。

 ■和食に飽きたら…
 欧米の食事は、脂っこくて育毛には不向きのものが多いのですが、効く食品もいくつか発見できました。
 まずは赤ワイン。レスベラトロールというポリフェノール成分がIGF-1を高めてくれます。1日2~3杯が最も効果的ですね。白ワインにはポリフェノールが含まれておらず、残念ながら効果はありません。
 そして、パスタなどによく使われるオリーブオイル。特にバージンオイルがおすすめで、いため物にはこれを使うといいでしょう。
 食後のデザートは、チョコレートを食べましょう。私もカカオマスポリフェノールが多く含まれたブラックチョコレートを、朝食後に30~50グラム食べています。
 ブラックコーヒーも効きます。コーヒーポリフェノールであるクロロゲン酸にIGF-1の増加作用があり、食後に3杯飲めば効果的です。ただ、気をつけたいのは、カフェインは逆にIGF-1を減らす作用があります。カフェインなしの商品か、浅煎りのコーヒーであるアメリカンにするといいと思います。
 間食はあまりおすすめしませんが、ガムならいいですね。ガムをかめば唾液量が普段の生活時の8倍に増えるので、シアル酸を増やすことができるのです。
 気になるお酒は、適量なら効果があります。ビールなら500ミリリットル、日本酒は1合が適量です。
 不思議なところでは、海洋深層水にもIGF-1を増やす効果があることがわかっています。ただ、ミネラルではなく、水そのものに知覚神経を刺激する作用があるようですが、詳しいメカニズムは研究中です。
 
 ■アンチ育毛食とは
 私は常々、食の「欧米化」、胚芽をわざわざ取ってしまった「白米化」の二つの「米」によって、日本人には薄毛が増えたのではないかと考えています。脂っこい欧米食は、やはり毛髪にはよくありません。
 中でも、フライドポテトやバターなどに含まれる「トランス脂肪酸」は、IGF-1を減らす大敵なのです。
 太った人に薄毛が多いというイメージがありますが、汗っかきで頭皮が不潔だったり、毛穴が皮脂で詰まって抜け毛が増えるからではありません。脂っこいものが好きな方が多いことに加え、カロリーのとりすぎによる高血糖こそが、IGF-1の減少を招いてしまうのです。甘党の方々も、当然、注意が必要ですね。
 牛丼や焼き肉、ラーメンも、高カロリーでおすすめできません。どうしてもお肉を食べたければ、豚肉にしてください。アラキドン酸やオレイン酸という成分が育毛によく、過剰摂取さえしなければ、リスクは減らせるでしょう。
 また、軽い断食は、発毛を促進します。空腹時に胃で作られるグレリンという物質が、IGF-1を増やしてくれます。適度な運動や、毎日20~30分の日光浴もおすすめします。
 まずは毎日続けられる一品を選んで、育毛生活を始めてみてください。外食のときにも、育毛食の知識をフルに使って、メニューを眺めてみましょう。地道に続けていけば、いつの日か、きっとたくましい頭髪が、よみがえる日が来るでしょう。
 (構成 本誌・國府田英之)
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 岡嶋研二(おかじま・けんじ) 1953年、大分県生まれの医学博士。熊本大学大学院医学研究科修了。同大医学部助教授などを経て、名古屋市立大大学院医学研究科教授(展開医科学)。食による育毛効果の研究の第一人者として知られる。主なテレビ出演に「世界一受けたい授業」(日本テレビ系)、「教えて からだのミカタ」(BS-TBS)
 
 ◆岡嶋教授おすすめの「育毛食」一覧
 <唐辛子>
 効果のある成分:辛み成分のカプサイシン
 解説:あらゆる食品に組み合わせたい育毛食の王様。「マイ唐辛子」を持ち歩き、外食時にも積極利用を

 <豆腐、納豆、おからなどの大豆製品>
 効果のある成分:イソフラボン
 解説:キムチ豆腐、キムチ納豆など、カプサイシンとは最強の組み合わせ。毎日続けたい

 <八丁みそ>
 効果のある成分:大豆イソフラボンの一種であるアグリコン
 解説:八丁みそ仕立てのみそ汁に、豆腐と海藻と唐辛子で◎

 <紅鮭>
 効果のある成分:アスタキサンチン(赤い色素成分)
 解説:高い抗酸化作用で、美容効果も発揮。牛丼屋の朝定食はこれで決まり

 <発酵食品(キムチ、ヨーグルト、塩辛など)>
 効果のある成分:アミノ酸、有機酸など」
 解説:和洋問わず、高い育毛効果の健康食。デザートにはヨーグルトなど、毎食1品を取り入れたい

 <海藻類(海苔、ワカメなど)>
 効果のある成分:海苔ペプチド、フコイダンなど
 解説:栄養価が高く、毎日摂取したい育毛の伝統食

 <玄米>
 効果のある成分:GABA、ビタミンB1など
 解説:米胚芽に抜群の栄養価。味の好みは分かれるが、白米からの切り替えを

 <スパイス類(ワサビ、ショウガ、ニンニク)>
 効果のある成分:香り成分の6ーMS芥子油(ワサビ)、辛み成分のジンゲロール(ショウガ)など
 解説:ワサビにはカプサイシンと同等の高い効果。外食時には積極的に取り入れたい

 <赤ワイン>
 効果のある成分:ポリフェノールのレスベラトロール
 解説:1日2~3杯が適量。白ワインには効果なし

 <チョコレート>
 効果のある成分:カカオマスポリフェノール
 解説:デザートにおすすめ。できれば無糖のブラックチョコレートを

 <コーヒー>
 効果のある成分:コーヒーポリフェノールのクロロゲン酸
 解説:食後に無糖で3杯が適量。ノンカフェインの商品がベスト

 <海洋深層水>
 効果のある成分:不明
 解説:成分は研究中だが、IGF-1を増加させる効果

 <緑茶>
 効果のある成分:カテキン
 解説:免疫力アップなど多くの健康効果

 <オリーブオイル>
 効果のある成分:オレイン酸
 解説:高い抗酸化作用。中でもバージンオイルが最適

46歳、男性→6カ月後
右から唐辛子、納豆、キムチ、みそ汁。右下は唐辛子のカプサイシンと、イソフラボンを6カ月間摂取した男性の後頭部。57歳の岡嶋教授(左下)も、見事にフサフサだ
ラーメン、焼き肉などのアンチ育毛食には、ニンニク(上)や海藻類(下)などをうまく組み合わせたい

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