朝日新聞
1998年06月13日     夕刊     夕刊経済特集     003     03867文字
   
薬の個人輸入“狂奏曲” ツアーに、米国からの往診、代行業…

 日本では販売が認められていない医薬品が話題になっています。米国で四月に発売された性的不能治療薬「バイアグラ」が、その代表です。米国に行って入手するツアーが登場、逆に米国から日本へ医師の“往診”も。インターネットを通じて個人輸入を代行する業者も目立ちます。しかし、医薬品に副作用の危険はつきもの。米国では、バイアグラを服用した人が二十人以上、因果関係は不明ながら死亡しています。専門家は「素人が医師の診察なしに未承認薬を個人輸入するのは危険」と警告しています。(増田洋一)
  
 十七万九千円。都内の独身男性(五〇)がバイアグラ三十錠を手に入れるのにかかった費用だ。ひし形で水色の錠剤。一錠約六千円の計算だ。
 この男性は五月末、東京都港区の旅行会社が企画した「バイアグラツアー」でハワイに行った。旅行の目的は同居の家族にはないしょだ。個人輸入という方法があることも知っていたが、ニセ物をつかまされることを恐れてツアーを選んだ。
 ツアーといっても参加者は一人だけ。ホノルルに着いた翌朝、現地の日本人ガイドがホテルから車で三十分ほどの診療所に連れて行ってくれた。日本人の内科医に、日本から持参した血液検査結果を渡し、「十年前からこんな症状で、六、七年前に糖尿病と診断された」と話した。聴診器を当てられ、血圧測定と問診を受けて、十五分ほどで診察が終わった。
 もらった処方せんを同じビルにある薬局に出して、三十錠入りの瓶をひとつ受け取った。内科医には「二瓶欲しい」と言ったが、「血圧がやや高い」と一瓶しか処方してくれなかったという。
 薬代と診察料を合わせて六百ドル(約八万四千円)。このほか往復航空運賃とホテル代、ガイド代が計九万五千円かかった。日程は三泊五日。診察以外の時間は買い物をしたり映画を見たりしたが、「やはり十八万円は高かった」というのが感想だ。
 この旅行会社にはテレビや週刊誌などからの取材が相次いでいるが、実際に参加した人はまだ三十人足らず。同社の社長は「話題だけが先行しちゃって」と苦笑する。
 逆のケースもある。米国在住の日本人神経内科医(六六)は近く来日し、十日間ほどで五百人を診察する。七割がバイアグラ目当て、ほかの患者も日本では未承認の経口育毛剤や抗うつ剤が目当て。医師が米国に戻ってから処方せんを書き、薬を患者に送るという段取りだ。カリフォルニア州と日本両方の医師免許を持っているという。
 きっかけは三年前。ロサンゼルスで診察したうつ病などの日本人患者たちが駐在勤務や留学を終えて帰国した後、「これまで飲んでいた薬が日本では未承認のため処方してもらえない。引き続き世話してほしい」と求めてきたのにこたえて始めた。三―四カ月に一回来日し、ホテルなどで百人前後の患者を診てきた。
 今回から診察対象に性的不能と脱毛症を加え、インターネットで広告を始めた。診察料は二万円。このほか、事前の問診票の診察料が三千円。さらに薬代と手数料が、バイアグラなら三十錠で九万四千五百円かかる。診察料とあわせて十二万円近くになる。
  
 ○「診察なし」に懸念も
 医師の診察を受けずに未承認の医薬品を入手する方法もある。薬事法によると、医薬品を輸入するには厚相の輸入販売業許可が必要だ。しかし、自分が使う目的で輸入する個人輸入の場合は、二カ月分以内(外用薬なら二十四個以内)なら許可がいらないことになっている。
 その個人輸入の代行業者もおり、インターネットを検索すると、未承認薬の輸入代行広告が数十もある。バイアグラが多い。米国の薬局では一錠十ドル(約千四百円)ほどだが、広告では七千円という高値も出ている。
 しかし、個人輸入した医薬品を自分で使わずに、他人に売ったりあげたりすることは違法だ。代行業者は、客がする輸入を代行するだけであって、自分が買って輸入した物を転売するのは「代行」ではない。それなのに、「一錠五千円で譲ります」という広告まである。
 東京の代行業者によると、大まかな仕組みはこうだ。注文を受けると客に質問票を送る。客は持病や使っている医薬品などを記入して返送。回答に問題がなければ代行業者は海外の仲介業者に送り、仲介業者は医師に質問票を見せて処方せんを書いてもらう。それを薬局に持参して薬を買い、日本の客に送る。米国で買うには処方せんが必要とされているが、処方せんなしに薬を入手している業者もいるという。
 個人輸入には、お金を払ったのに品物が届かないといったトラブルが起こる恐れもあるが、医薬品で重大なのは副作用や誤用の危険だ。「薬には使用上の注意が書かれた文書が添えられているが、専門用語まじりの英語。普通の人は読んでも分からないのではないか」と、ある製薬会社幹部。
 薬害に詳しい杉山真一弁護士は「未承認の医薬品を個人輸入して使うことには大きなリスクがある」という。杉山さんによると、副作用の被害が出たとき、海外の製薬会社に損害賠償を求める訴訟を起こすことは理論上は可能だが、実際には非常に難しい。「日米双方の弁護士に依頼して裁判を進めることになるだろうが、日米の制度の違いを調整するのに大変な手間がかかる。そんな面倒を引き受けてくれる弁護士を見つけられずに泣き寝入り、という恐れが大きい」
  
 ○時間かかる国内発売 臨床試験や審査、発展途上
 新薬が米国で承認されてから日本で承認されるまでに、何年もかかることは珍しくない。薬買いツアーや個人輸入代行がはやる一因だ。その背景には、行政の姿勢や医療習慣の違いがあると関係者は口をそろえる。萬有製薬の明楽(あけら)泰研究開発本部長は「『いい薬は早く患者に』という米国に対し、サリドマイド事件などに懲りた日本は薬害について非常に慎重だ」と話す。
 エーザイが米国で昨年発売したアルツハイマー型痴ほう治療薬「アリセプト」は、米国で臨床試験(治験)が始まったのが一九九一年。日本ではその二年前に治験が始められていたのに、まだ終わっていない。患者への投与量を日本ではほんの少しずつ増やしていくやり方。米国では思い切って増量することができ、効果的な投与量が早く分かったからだという。
 「新薬発売が遅れるのは、日本が世界一、治験を進めにくい国だから。治験を担当する医師が忙しすぎることも原因のひとつ」。こう話す外資系製薬会社の幹部もいる。欧米では、治験を患者に説明したり結果を記録したりする支援スタッフがいるのに対し、日本の医者は診察の傍ら、こうした事務を一人でこなさなければならない。
 さらに、昨年四月に実施基準が改められたことが「治験の“大不況”を招いている」(同幹部)。新実施基準は支援スタッフの配置や文書による患者同意などを求めているのに、まだ病院側の態勢が整っていない。病院に治験を頼んで得られる症例の数がこのところ、以前の一割以下に急減しているという。
 スピードアップへの動きもある。厚生省の姿勢がエイズ薬害事件をきっかけに変わりつつあるからだ。来日したギルマーティン米国製薬工業協会会長は九日、東京での講演会で、日本が新薬承認の標準的審査期間を半年縮めて十二カ月にする約束をしたことと、その前の治験の段階で海外データの受け入れを拡大したことを挙げ、「努力を評価します」と述べた。
 実際、米メルク社が米国で九六年三月に売り出したエイズ治療薬「クリキシバン」を、子会社の萬有製薬が厚生省に輸入承認申請したのは同年六月。申請に必要な治験結果に米国のデータがほぼそのまま認められ、日本での治験を最小限にできたことが早期申請につながった。承認は九カ月後。以前は申請から六―十二カ月もたたないと実質審査が始まらなかったのに比べ大幅にはやくなった。
 「一連の改革の方向は望ましいが、医療現場や行政の態勢整備には、まだまだ時間がかかるだろう」。製薬業界関係者の一致した見方だ。
  
 ○中国育毛剤「一〇一」の場合 開発者「秘伝」で断念
 中国の育毛剤「一〇一」は十年前にブームになり、購入ツアーに多くの人が参加した。実はこの一〇一を日本で売り出そうという動きがあった。中国側と交渉したのは、大手かつらメーカーのアデランス。研究開発担当の社員が個人輸入して試してみたところ、さほど効かないケースもあったが、円形脱毛症には効果があったためだという。
 ところが、交渉担当者が中国の工場に行くと、薬草をアルコールに浸し、溶け出した成分をひしゃくですくい瓶に詰めるという製造法で、開発者は「私の秘伝が盗まれてしまう」と、薬草の配合方法を七割ほどしか明かさなかった。アデランス側が特許権や権利の使用料を説明しても分かってもらえず、「これでは日本で臨床試験をすることもできない」と、同社は日本での販売を断念したそうだ。
  
 <日本で未承認の医薬品の例>
                  米国での発売 日本での動き
 バイアグラ(性的不能治療薬)   今年4月   臨床試験を実施中
 プロペシア(男性型脱毛症治療薬) 今年1月   臨床試験実施を検討中
 ロゲイン(育毛促進剤)      1988年  1992年に製造承認を
                         申請
 プロザック(抗うつ剤)      1988年  臨床試験や承認申請の
                         予定なし

医薬品は医師の処方がなくとも個人輸入で購入できます。
医薬品の通販は100%正規品保証、成分検査をしているオオサカ堂がおすすめです。

プロペシアは、医薬品個人輸入サイト、オオサカ堂で通販できます
↓   ↓   ↓

>> プロペシアのご購入はこちらから(最安値) <<
>> 私はプロペシアで髪が生えました 証拠写真はこちら <<