朝日新聞
2005年09月24日     朝刊     be週末e4     012     01356文字
   

(サザエさんをさがして)育毛剤 悩める人のカミのもと

 女性ならばシワ、男性ならば髪の毛。50年後の今も、悩みは同じだ。
 波平は、この作品掲載以前から「けはえぐすり」を使っていたようだ。マスオがひげそり後に、アフターシェーブローションと間違えてあごに塗り、ひげがはえてきたこともあった(52年1月)。
 昭和初期の32年に養毛剤を売り出した加美乃素本舗の生き字引、青柳大典さん(63)は、「戦争で途絶えた生産が51年に復活し、ラジオやテレビなどで宣伝したので、この漫画に出ているのもうちの製品でしょう。でも波平は、もう手遅れの状態」と厳しいご意見だ。
 波平の苦悩は続く。髪の毛がついた櫛(くし)が室内に落ちているのに気づいたフネが「だれです。クシをつかいっぱなしのひとは!!」と怒る。波平は「わしではないぞ!!」と答え、フネに「むろんです!」と言われて「さびしい」ともらす(55年11月)。
 さらに、ついに打つ手がないと悟ったのか、かつらをつけて帰宅し家族のブーイングを浴びる(67年9月)。
 そんな波平にも「ふさふさ」の時代はあった。押し入れにあった黒髪の若い男性の写真を見つけたワカメは、フネからお父さんの写真だと聞き、今の父親は2度目なのかと泣く。波平は「わしゃそれほどかわっとらんぞッ!」(65年8月)。
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 波平のため息に共感する人は今、どのぐらいいるのだろう。加美乃素本舗の青柳さんは、髪の悩みをもつ成人男性は1千万人と推測する。「若い頃から頭皮マッサージをしていれば、波平のようにはなりません。現に、私の父と兄は薄いですが、私はこの通り。カツオにも遺伝とあきらめず、毎日のお手入れを勧めたい」
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 80年代に入って、資生堂などが発売した育毛効果を高める商品がヒットし、参入するメーカーが相次いだ。中国製育毛剤もブームになった。そして今、若い男性や女性も髪に悩む。
 資生堂は、現在の育毛・養毛剤市場を350億円と推定、数千円以上の高額商品が主流と見ている。新成分を配合した話題の商品が出るたびに消費が伸び、悩める人たちの心情がうかがえる。
 頭髪医療に力を入れている東京・新宿の城西クリニックには月に2400人の患者が訪れる。男性の7割が20代、30代だ。女性は全体の2割で、30歳前後と50歳前後が多く、ここ2年ほどで急増したという。小林一広院長(43)は、欧米型の食事や不規則な生活習慣、ストレスなどが要因と話す。
 治療には、発毛剤プロペシアを使う。飲み薬で、97年に米食品医薬品局に認可され、日本でも近く厚生労働省から認可されるという。外用薬として日本でも商品化されている発毛を促進する成分ミノキシジルも併用。治療費は健康保険がきかず、1カ月1回の診察と薬代で月3万円ほどかかる。
 「波平の状態がマスオ並みになると、治療に期待する人が多い。改善が認められても、本人が治ったと思わないこともあるし、まだまだの状態でも本人は満足というケースもある」と、精神神経科が専門の小林院長はいう。「はげるメカニズムは、まだ分からないことが多い。カミのみぞ知るです」
 (吉野園子)
 <1958年11月16日朝日新聞朝刊 (C)長谷川町子美術館>

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