男性型脱毛症治療薬フィナステリドの使い方

効果判定の目安は服用開始6カ月後

NTT東日本関東病院(東京都品川区)皮膚科部長 五十嵐  敦之


 フィナステリド(商品名プロペシア)は、前立腺肥大症治療薬の研究中に発毛作用が認められたことをきっかけに開発された経口薬で、男性型脱毛症に効果を示す。男性型脱毛症は、壮年性脱毛とも呼ばれ、前頭部と頭頂部の頭髪が薄くなり、最終的には後頭部と側頭部を除いて脱毛が進行するタイプの脱毛症である。その本体は、成長期毛の減少と、毛髪の軟毛化である。

毛母細胞のアポトーシスを防ぐ

 男性型脱毛症の患者では、血中の主な男性ホルモンであるテストステロンが、前頭部や頭頂部の毛乳頭細胞に入ると、2型5α-還元酵素によってより強力な男性ホルモンであるジヒドロテストステロン(DHT)に変換される。すると、毛乳頭細胞でTGF-β1の産生が亢進し、毛母細胞がアポトーシスを起こす。その結果、毛母細胞が休止期へ移行して毛の発育が抑制され、徐々に毛髪が軟毛化する。

 フィナステリドの作用機序は、2型5α-還元酵素を阻害し、テストステロンがDHTへ変換されるのを阻害することである。具体的には、成長期毛の増加や、毛髪の伸長や太さの改善、毛髪量の増加などの効果が期待できる(図1)。なお、フィナステリド自体にはホルモン様作用はなく、DHT以外の全身のホルモンには影響を与えない。

 フィナステリドは1日1回の内服薬で、日本では、2005年12月に0.2mg錠と1mg錠が発売された。海外では、1997年に1mg錠が米食品医薬品局(FDA)に承認されて以来、現在までに66カ国、計260万人以上の使用経験がある。

 国内におけるフィナステリドのプラセボ対照二重盲険比較試験において、投与1年後の頭頂部写真判定で軽度改善以上の改善が認められた割合は、1mg錠で58%、0.2mg錠で54%であった。さらに、不変以上、すなわち服薬開始時の状態を維持することができたケースを含めると、9割以上の被験者で効果が確認された。頭頂部、前頭部ともに有効であるが、頭頂部の方がやや改善度が高かった。

 この臨床試験では、フィナステリド0.2mg群と1mg群の間で、有効性に有意差が認められなかった1)。そのため、世界標準は1mg錠であるが、わが国では0.2mg錠と1mg錠の2剤形が発売されることになった。

 発売後に行われたフィナステリド1mgを3年間投与した長期投与試験の結果、時間が経過するほど、抜け毛の進行抑制や改善効果が実感されることが明らかになっている。また、この試験では長期間投与しても副作用発現率が低いことも確認された2)。治療目標は脱毛の進行遅延に

 フィナステリドは、薄毛が気になり始めたときに服用を開始するのが最も有効である。患者には、まずは脱毛の進行を抑制し現状を維持することが目標であり、その次の目標が髪の毛を増やすことであると説明すべきである。また、抜け毛が減ったかどうかは患者が実感する最初の効果の目安だが、薬剤の効果が確認できるまでには通常6カ月の服薬が必要である。6カ月投与しても脱毛の進行遅延が見られない場合は、継続投与について検討する必要がある。

 薬剤の選択については、副作用発現率が比較的低いことから、0.2mg錠と1mg錠のどちらを選択してもよいと考える。いずれにせよ、念のために、初回は2週間から1カ月分程度の処方を行い、問題がないことを確認した上で、長期間の処方を検討する。90錠入りのボトルも発売されている。

 なお、フィナステリドには健康保険は適用されない。1錠当たりの価格は250円前後であり、1カ月の医療費は薬剤費込みで1万円前後が標準のようである。血清PSA値は低下

 副作用に関しては、当初、性欲減退など性機能に関連するものが懸念されたが、日本における臨床試験では、フィナステリド1mg群で、139例中7例(5.0%)、0.2mg群で137例中2例(1.5%)。プラセボ群では、138例中3例(2.2%)であり、各群での副作用発現率に差はなく、副作用のために投与を中止した症例はなかった。

 性機能関連以外の副作用では、脂質異常症(高脂血症)、下痢、胃不快感、熱感、腸内ガスが認められた1)。また、国内臨床試験における24歳から50歳の男性型脱毛症患者において、血清前立腺特異抗原(PSA)濃度が約40%低下した。

 これについては、海外で行われた臨床試験でも高年齢層の前立腺肥大症患者へのフィナステリド投与により血清PSA濃度が約50%低下していた。そのため、本剤を投与中の患者に対して前立腺癌のスクリーニングの目的で血清PSA濃度を測定する場合は、2倍した値を目安として評価する必要がある。

 男性型脱毛症は女性にも認められるが、閉経前の妊娠可能な女性が妊娠中に服用すると、男子胎児の外性器の発育に影響を及ぼす可能性があるため、フィナステリドの使用は避けるべきである。また、閉経後女性の男性型脱毛症においても、海外臨床試験で有用性が認められなかったことから使用すべきではない。

 フィナステリドは既存の外用発毛剤に比べて有効性が高いが、失われた毛髪が昔のようによみがえるというものではない。来院した時点で脱毛がかなり進行した患者には、過度な期待感を抱かせないよう注意が必要である。効果およびその限界について十分説明し、適切なインフォームド・コンセントにより処方することが大切である。


図1 男性ホルモンの代謝とプロペシアの作用部位

フィナステリドは、2型5α-還元酵素を阻害し、テストステロンがジヒドロテストステロンに変換されるのを阻害して、脱毛の進展を抑制する。

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