医薬各社、年内発売の“最強発毛薬”に相乗り目論む 「飲む発毛剤」待望の皮算用


プロペシアという製品名で世界50カ国以上で売られ「最強の発毛剤」との呼び声も高い飲み薬が、今秋までに、厚生労働省の販売認可を受ける見通しとなった。開発を進めているのは、プロペシアを製造する米製薬大手のメルクの子会社で、中堅の万有製薬。同社で初めての発毛剤は医療用医薬品として年内にも販売開始となる。

 その発売を待ち焦がれているのは、脱毛症に悩む人だけではない。実は、大正製薬の発毛剤「リアップ」のマーケティングを担当する伊藤清氏も首を長くしている1人だ。

 リアップが薬局で買える大衆薬で、プロペシアが医師の処方箋が必要な医薬品という違いはあるが、同じ発毛剤に分類されるライバル同士。しかも、リアップの売り上げは発売した1999年度の297億円をピークに、ブームが沈静化した現在、150億円程度に落ち込み、シェアも約3割に低下している。手強いライバルの出現に、危機感を募らせてもおかしくないはずだが、伊藤氏は「お互い敵視するのではなく、ウィン-ウィンの関係を築きたい」と話す。それは、なぜか――。

併用に期待する「リアップ」

 大正製薬が歓迎する理由は、発毛メカニズムがリアップとプロペシアとでは異なるため、相互に補完関係が成り立つと期待しているところにある。

 男性型脱毛症の主原因は、頭皮が男性ホルモンの影響を過剰に受けることだ。男性ホルモンは髭や胸毛などの体毛を増やすが、眉毛の上から頭頂部にかけては産毛を太くて長い毛(硬毛)に成長させるプロセスを妨げる。最近の研究で、男性ホルモンの一種であるテストステロンが、より活性の強いDHTと呼ばれる物質に変換され、このDHTが髪の毛を作る毛母細胞の働きを抑制し、毛髪が成長するのを阻害していることが分かってきた。

 プロペシアは、男性ホルモンの働きそのものを抑えるのではなく、テストステロンをDHTに変換する酵素だけを選択的にブロックするため、男性型脱毛症に対して薬効がある。

 米国では98年1月に販売を開始。万有製薬によると、プロペシアを2年間投与された患者の3分の2は、毛髪が目に見える形で改善し、9割以上で毛髪の維持以上の効果が確認された。

 一方、リアップには、脱毛症の副原因とされる頭皮の血行不良を改善する効果がある。頭皮の血流が悪くなると、毛母細胞に栄養素が届きにくくなり、脱毛が進んだり、毛髪の成長を阻害したりする要因となる。リアップは、頭皮の毛細血管を広げることで、頭皮の血行を良くする薬効を持つ。

 つまり、2つの薬剤で主原因と副原因を抑えることができれば、治療効果はより高まるというわけだ。ただし、両社とも日本では併用した場合の安全性を確認していないため、薬事法上、消費者にその効果をアピールできない。そこで、それぞれ、海外での併用による使用実績を医療機関に情報提供していくことを検討している。

 欧米では、プロペシアリアップ(海外での製品名はロゲイン)の併用が男性型脱毛症の標準的な治療法として認知されている。実際に両剤の併用で発毛効果が高まったとする論文もある。これらの情報を医師に提供し、併用を促したい考えだ。

 思惑通り併用が進めば、落ち目のリアップの売り上げも一転して上向く可能性がある。それこそ、大正製薬が“最強のライバル製品”に期待をかける理由だ。経口発毛剤のプロペシアの患者負担は1錠200円程度となる見込みで、1カ月分の処方で約6000円。リアップは小売店頭で現在、1本(1カ月分)5000円程度で売られており、併用してもサラリーマンの小遣いで賄える範囲との読みもある。

 プロペシアの恩恵は、頭皮の血行を促進するタイプが大半の既存の発毛・育毛剤にも波及しそうだ。第一製薬で「カロヤン」シリーズのブランドマネジャーを務める並木康造氏も「プロペシアは、我々に間違いなく追い風になる」と登場を心待ちにしている。

遺伝子検査で事前に効果判定

 さらにプロペシアに関しては、薬剤を投与する前に効果があるか否かを判定する遺伝子診断技術も開発され、一部の医療機関では治療に取り入れている。使ってみるまで効果が確認できないのが医薬品の常だったが、最先端のバイオ技術でそれも覆されそうだ。

 主導しているのは毛髪治療などを手がける医師らのNPO(非営利組織)で、中心メンバーである城西クリニック院長の小林一広氏は「まだ研究途上だが、個人の遺伝的な体質に応じて治療法を選択できれば、副作用の発生を可能な限り低く抑えられる」と脱毛症を対象にしたテーラーメード医療を展望する。薬を服用する前に効果がある人だけを選び出せれば、無駄な投薬を減らせ、医療保険上の利点も大きい。

 脱毛症に悩む人は日本で1200万人と推定される。注目の新薬は発毛剤市場を変えるだけでなく、医療の進化を促すインパクトを持つ。(坂田  亮太郎)

高齢化社会で存在感増す生活改善薬

 発毛剤をはじめ、生活の質を改善するために開発された医薬品が国内でも徐々に実用化されてきた。代表的な製品は、ED(勃起不全)の治療薬として大きく注目を集めたファイザーの「バイアグラ」だ。生活改善薬は、生死に関わる病気を対象とした薬ではないため、医療保険の対象外となる。大衆薬だけでなく、医師に処方された医療用医薬品でも、費用は全額個人負担というのが原則だ。
 生活改善薬は、欧米では「ライフスタイルドラッグ」として1つのジャンルを形成している。積極的に研究開発に取り組んでいるのは海外の製薬企業で、現在、日本市場に出回っている生活改善薬も外資系企業が開発した製品が多い。一方、国内製薬企業で生活改善薬にまで手が回っているところは少数だ。保険が利かないために開発意欲が高まらないのが実情で、国内勢の出遅れ感は否めない。
 国内メーカーが開発した生活改善薬で異例のヒットとなったのは、エスエス製薬の睡眠改善薬「ドリエル」。眠くなる風邪薬の副作用を逆手に取り、ストレスなどが原因で不眠に悩む人の「不眠対策」として新ジャンルを開いた。医師から処方を受けなければ買えない医療用睡眠薬と異なり、ドラッグストアなどで購入できる手軽さも受けた。まだ馴染みの薄い生活改善薬だが、潜在市場の大きさを裏づけた形だ。
 高齢化社会を迎えた日本にとって、生活改善薬は今後一段と重い役割を担うと見られている。ガンなど重篤な疾病を治療するために開発された従来からの医薬品は、平均寿命を延ばす役割を果たした。しかし、医療財政の破綻を招かないためにも、今後は生きている間にどれだけ健康な期間を延ばせるかが重要な課題となってくる。健康の維持や病気予防に役立つ生活改善薬が普及すれば、「健康寿命」の延長にも大きく貢献すると期待されるからだ。
 将来、実用化が見込まれる生活改善薬の中で、最も期待が高いのが抗肥満薬。肥満を温床に生活習慣病が深刻化するため、肥満を治療もしくは予防できる薬が開発されれば、極めて大きな需要が見込める。

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