朝日新聞
1999年06月10日     夕刊     YU1     005     02843文字
   

育毛剤 研究所ルポ(週刊You・meジャーナル) 【大阪】

 「最強の発毛剤」とうたった週刊誌もあれば、「究極の毛生え薬?」と書いた新聞もあった。米国生まれの発毛剤ミノキシジルを配合した大正製薬の「RiUP(リアップ)」のことだ。三日の発売以来、薬局や薬店には客が殺到し品切れが相次いでいる。ハゲや薄毛で悩む男性は国内で一千万人を超すというのだから無理もないかもしれないが、どっこい日本の毛髪用薬の開発は世界の最前線を走っているのだ。業界トップシェアの「薬用不老林」で知られる資生堂の研究所を訪ねてみた。(諸岡亨)
 ◆ササニシキ
 ササニシキ、ヒノキ、冬虫夏草……これらが何の材料か分かるだろうか。
 横浜市港北区にある資生堂第一リサーチセンターの素材開発研究所では、こういった素材から抽出したエキスから薬効成分を見つけ出し、育毛剤の開発に役立ててきた。
 素材探しのため、研究員や契約商社の商社マンが国内はもとより、世界各地を飛び回っている。その土地の伝承や民間療法、薬草などの情報を収集し、発毛や脱毛予防に効きそうなものがあれば出向いて採集する。最近では東南アジアや中南米が「素材ハンター」らの主戦場なのだそうだ。
 ちょっとしたうわさのたぐいでも侮れない。例えば、一九八六年に発売した『薬用育毛エッセンス』。「稲穂で頭をたたいたら毛が生えてきた」という東北・宮城でのうわさをきっかけに、研究員が調べたところ、ササニシキから頭皮の保湿効果のあるエキスが見つかった。配合して売り出したところ大ヒットした。
 「日本人は外国に比べハゲを気にしている人が多く、新しい薬効情報にも敏感です」と主任研究員の田島正裕さん(四八)はいう。
 取り寄せた素材は成分分析して、毛髪細胞を使って効能を確かめる。十年ほど前は実際に人間で試していたが、ここ数年で毛髪細胞の培養技術が確立され、手軽に調べることが可能になった。美容整形で切り取られた頭皮を病院から譲り受け、培養して使ったりもするのだそうだ。
 ◆実証してこそ
 育毛剤が本当に効くかどうかを確かめるには臨床試験が不可欠だ。
 資生堂では通常、百人の被験者に育毛剤を六カ月間連続で使ってもらい、効能を調べている。被験者は機密保持のため社員から選んでいる。研究所や本社内に回覧を回してハゲている人を募集しているが、年齢によるものや円形など男性型脱毛でない場合もあるため、候補者全員の頭頂部の写真を撮って、男性型かどうかを確認して指名。研究員が大阪など各地の支社や営業所に出張し、頭の薄い社員をスカウトしてくることもあるという。
 同研究所によると、十年ほど前までは、データ収集のため被験者の行動を厳しく制約し、床屋へ行く日も決められていた。ひと月のうち定められた一週間は研究所で髪を洗ってもらい、ざるや布でこした抜け毛を一本一本ピンセットで拾って、本数や傷み具合などを調べていたが、髪のメカニズムの解明が進んだ今は、そうした制約は少なくなったという。
 手の込んだ実験では、研究者自らが実験台になることも珍しくない。二十代後半から髪が薄くなり始めたという主任研究員の田島さんは、カメラで自分の頭頂部を撮って研究資料にしている。「身をもって実証しているからこそ、自信をもって売り出せるんです」
 ◆ライバル
 「リアップ」人気について、資生堂は「発毛促進や養毛、脱毛予防など総合的な効果を狙うのがうちの製品の特長。リアップとは設計思想が違う」(広報室)と対抗心も見せる。研究所では、薬効をアップさせる化学物質の研究も進められている。昨年出した「薬用不老林ライブX」では、親水性、親油性両方の性質をもつ「デルアミド」という物質を使って薬効成分の浸透力を従来品の数千倍から数万倍に引き上げた。デルアミドは資生堂が試行錯誤の末、十年近くかけて合成したものだ。
 「リアップ」の販売決定で国内が騒然としていた先月二十六日、田島さんは地球の裏側のチリ・サンティアゴで開かれた国際化粧品技術者会連盟の国際会議でデルアミドの成果を発表した。この会場で質問攻めにあったという田島さんは「ミノキシジルの登場で毛髪の分野に大企業も動き出した。二十一世紀はメーカーが技術でしのぎを削る時代になる」と予測する。
 ◇「遺伝だから治らない」って本当? 阪大助教授の板見氏に聞く
 ハゲは治せるのだろうか。リアップを超える薬は出てくるのだろうか。脱毛のメカニズムに詳しい大阪大学医学部の板見智・助教授(皮膚科)に聞いた。
 Q ハゲといっても一口では説明できないのでしょうね。
 A ストレスをきっかけとした自己免疫疾患による円形脱毛症や出産後のホルモンバランスを崩したもの、甲状せんなどの内分泌異常によるもの、貧血によるものなどいろいろありますが、一番ポピュラーなのが、世の男性を悩ます男性型脱毛です。
 Q 男性型ではよく「ハゲは遺伝だから治らない」と絶望している人もいるようですが。
 A 確かに遺伝はあります。しかも単純な優性遺伝ではなくて、親が大丈夫でも隔世や隔々世の時もあるし、場合によっては家族がハゲてなくて、何代もさかのぼったら先祖にいた、なんてことも。男性ホルモンがかかわっていることも忘れてはなりません。子どもの時はハゲてないのに、第二次性徴が始まる思春期以降に出てくるのはそのためです。女性にもありますよ。いずれにしても、数年かけて徐々に頭皮の露出が進むので、早めに対策を講じれば多少の予防や改善は期待できると思います。
 Q 話題のリアップはハゲで悩む人には福音となりますか。
 A 有効成分であるミノキシジルには、毛包細胞の分裂・増殖を進めて成長期を延ばす作用がサルの実験で確認されていて、欧米ではヒトでの有用性も認められています。私自身もアメリカの市販薬を使ってますが、それなりに効果はありました。ただ薬だけに個人差があって、あまり効かなかった人もおり、過剰な期待をするのもどうかと思います。
 従来の育毛剤にもそれ相応の効果が認められているし、厚生省がリアップを承認する七年の間に改善も進んでいるでしょうから、単純には比較できません。本人の受け取り方にもよるでしょう。産毛が生えて「やったー」と喜ぶ人もいれば、「この程度ではダメ」という人もいますからね。
 Q 今後の見通しは。
 A 男性の性的不能用のバイアグラは心臓病の薬の開発中に見つかったし、ミノキシジルも高血圧の薬の副作用に発毛効果があったため生まれたわけで、第二、第三の特効薬誕生の可能性はあります。日本で承認されてませんが、脱毛を誘発する男性ホルモンに作用する酵素を阻害するプロペシアという飲み薬も米では効果を上げています。命にかかわらないハゲで遺伝子をいじるわけにはいかないでしょうが、脱毛の仕組みが解明されてきており、見通しは明るいと思います。

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