「薄毛はお医者さんで治せます」。こんなコマーシャルで一躍認知度が高まった男性型脱毛症(AGA)。男性の薄毛の多くが、このAGAだといわれる。
AGAは思春期以降の男性に起き、前頭部や頭頂部の毛髪が薄くなっていく現象。額の生え際が後退するM型、頭頂部が薄くなるO型などが多い。
主な原因と考えられているのが、ホルモンの影響。男性ホルモンの一種である「テストステロン」が、5α-還元酵素の作用で「ジヒドロテストステロン(DHT)」に変化し、毛髪の成長を抑制することで起こるといわれている。ヘアサイクルが短くなり、毛髪が成長しきる前に抜けるため、一本一本が細く、全体的に薄毛に見えるのだ。ただし、AGAの場合、通常は薄毛になっても産毛は残っているため、毛髪を作る細胞がある限り、もう一度太く育つ可能性がある。早い段階からケアをし、進行を止めることが必要だ。
頭皮ケアシャンプーは必要?
「君のは頭皮を洗えるシャンプーか」というフレーズで注目を集めている「スカルプD」(アンファー)は、1本4800円と高額にもかかわらず飛ぶように売れている。お笑いタレントと組んで効果を訴求する広告を見て、「毛髪が増えるのでは」と期待して手に取った人も少なくないはず。この他にも、スカルプDと同様に“頭皮ケア”をうたうシャンプーが人気だ。
勘違いしてはいけないのが、シャンプーが毛髪の成長に直接働きかけるわけではないということ。頭皮ケアシャンプーの多くに含まれている“有効成分”は「ピロクトンオラミン」や「グリチルリチン酸二カリウム」だが、抗菌や抗炎症の目的で使われている成分で、これ自体に発毛効果はない。
一方、「頭皮がきれいなほうが育毛剤が浸透しやすい」と語る医師がいるのに加え、メーカーは「余分な脂を落とすことで育毛に良い環境がつくれる」ともうたう。ただ、その点は重要ではないと指摘する専門家もいる。
「皮脂と脱毛に直接的な関係はない」と語るのは、大阪大学大学院医学系研究科皮膚・毛髪再生医学寄附講座の板見智教授。「AGAは男性ホルモンによる作用が主な原因で、頭皮の状態には基本的には左右されない」(板見氏)からだ。「脂漏性湿疹」では、悪化すると一時的に毛髪が抜けるケースもあるが、これは皮脂が通常時より多くなった場合などに起こるもの。これが原因で薄毛になる人は、AGAに比べて少ないと思われる。この状態では、「医療機関で塗り薬などを処方してもらったほうがいい」(板見氏)。
「皮脂の落としすぎは頭皮に悪い」(東京医科大学皮膚科学講座の坪井良治教授)という意見もある。
「皮脂を洗い流しすぎると、頭皮のバリアー機能が壊れ、湿疹などの炎症を引き起こしてしまう」(坪井氏)。頭皮ケアシャンプーのなかには脱脂力や洗浄力を強化したものもあり、シャンプー後にコンディショナーやローションなどで保護しないと逆効果になることがある。メーカーも、「シャンプーの後には、コンディショナーの使用を推奨している」と話す。頭皮ケアシャンプーでも一般的なシャンプーでも、極端に洗浄力が高いものは注意が必要だ。
また、「安いシャンプーは毛根に悪影響を与える」と思い込み、高めの頭皮ケアシャンプーを買っている人もいるだろうが、「基本的に、頭皮から数ミリも奥にある毛根の細胞にシャンプーの成分は届かず、脱毛に直接的な影響は及ぼさない」(板見氏)という。一般的なシャンプーでも問題なさそうだ。
有効な薄毛治療は限定される
AGAによる薄毛の治療方法に関しては、考慮しておきたい指針がある。昨年発表された日本皮膚科学会の「男性型脱毛症診療ガイドライン(2010年版)」によると、「強く勧められる」に分類されたのは、フィナステリド内服(男性のみ)とミノキシジル外用(男性5%、女性1%)だけ。商品名でいうと、フィナステリド内服は「プロペシア錠」(MSD)、ミノキシジル外用は「リアップX5」(大正製薬)になる。それ以外の市販されている育毛剤に含まれる成分は、ほとんどが「使ってもよい」程度のため、医師が薦めるのはこの2つに絞られそうだ。
「よく効く」という“お墨付き”を得た格好のフィナステリドとミノキシジルだが、薄毛に効く原理はそれぞれ異なる。フィナステリドは、毛髪の成長を抑制する作用を持つDHTの生成を阻害することで効果を発揮する一方で、ミノキシジルは毛髪の成長を促進させる因子の分泌を促したり、血流の改善作用があるといわれている。どちらも継続的な利用が推奨されており、少なくともフィナステリドで6カ月程度、ミノキシジルで4カ月程度は様子を見たほうがよさそうだ。
買い方もそれぞれ異なる。プロペシア錠は医療用医薬品のため基本的には医師の処方が必要だが、リアップ-升気和茖盈牋緻t品のため、薬剤師のいる薬局であれば購入可能。気軽に入手できるのは魅力だ。
フィナステリドとミノキシジルは、併用することも可能。AGAの診療を行う医療機関などでは、プロペシア錠を処方し、かつリアップX5の併用を勧めるところも増えている。
主なメカニズムが解明されている男性型脱毛症
脱毛症は発症のメカニズムや症状別にいくつも種類がある。例えば、自己免疫疾患が原因の一つといわれている円形脱毛症や、真菌などの影響による皮膚疾患である脂漏性皮膚炎による脱毛症、先天性の脱毛症、抗がん剤といった薬剤の投与による脱毛、代謝の障害や過激なダイエットによる栄養障害で引き起こされる脱毛など。
なかでも男性に多いといわれているのが男性型脱毛症(AGA)。男性ホルモンの作用によって毛髪の成長の周期が通常時に比べて短くなることが主な原因と考えられている。思春期以降、前頭部や頭頂部を中心に薄毛になっていくのが特徴だ。
●薄毛の種類
男性型脱毛症(AGA)、円形脱毛症、脂漏性脱毛症、先天性脱毛症、など。
男性の場合、ほとんどがAGA。
従来は、円形脱毛症で医療機関を訪れる人が多かった。だが最近、テレビコマーシャルなどの影響で、AGAの認知度がアップし、受診者が増加しているという
●ヘアサイクルの短縮により、軟毛化、細毛化が進む
通常、毛髪は2~6年をかけて成長し、太く強くなっていくが、AGAの場合、成長期が数カ月~1年程度に短くなる。毛髪は成長途中で抜けてしまうため、十分に育っていない細くて短い毛が多くなり、全体として薄毛が目立つようになる。一度症状が出ると、年齢とともに薄毛は進行する。
検証 人気の“頭皮ケアシャンプー”発毛に効果はあるのか!?
最近注目を集めているのが、頭皮ケア用のシャンプーだ。基本的に医薬部外品のため、ドラッグストアやネット通販などで気軽に購入でき、利用している人も多いだろう。
これらのシャンプーには、“有効成分”として「ピロクトンオラミン」や「グリチルリチン酸二カリウム」などといった成分が配合されている場合が多く、「頭皮を清潔な状態に保つ」ことをうたっている。また、「頭皮に優しい」という点をアピールしているのも特徴だ。これらの頭皮ケアシャンプーは価格が高めだが、果たして一般的なシャンプーに比べて優位性はあるのかどうか、気になるところだ。
毛が生えるわけではない!!さらに使用時には注意点も
頭皮ケアシャンプーのなかには、脱脂力や洗浄力を高めているものもあり、使用後にはコンディショナーなどでケアをしないと頭皮が無防備な状態になる場合がある。そもそも「頭皮の脂が多くてもAGAにはならない」という声もある
“普通”のシャンプーでも十分!!
安いシャンプーなどでは毛根に悪影響を与えるのではと心配する人もいるだろうが、「シャンプーの成分は基本的に毛根の細胞まで届かない」(板見氏)という
専門医と共同開発をした「スカルプD」(アンファー)。薄毛に悩むお笑いタレントと組んで効果を訴求。彼らは同商品以外に頭髪治療も行っており、同社も「治療と並行して使ってほしい」と話す
育毛剤を販売する各メーカーも頭皮ケア用のシャンプーを投入。スカルプDと同様、ピロクトンオラミンなどを使った製品が多い
脂漏性脱毛症では、頭皮ケアが有効な場合も
真菌や皮脂が多すぎることが要因の一つである脂漏性皮膚炎の場合、抗真菌剤を使うことで症状が改善し、脱毛が止まるケースがある。医療機関では、脱漏性皮膚炎の治療に「ケトコナゾール」を配合したローションなどを処方することが多い。
右:ケトコナゾールの外用薬は、ローションの他クリームもある。海外ではケトコナゾール入りのシャンプーが売られているが、日本では未認可
「プロペシア錠」「リアップX5」。“お墨付き”のAGA対策は主に2つ
昨年発表された日本皮膚科学会の「男性型脱毛症診療ガイドライン(2010年版)」では、過去の論文や文献を収集し、AGAに対する治療方法の優先順位が示された。「強く勧められる」とされたのは、フィナステリド内服(男性のみ)とミノキシジル外用(男性5%、女性1%)だけ。つまり、フィナステリドの内服薬「プロペシア錠」(MSD)とミノキシジル外用に該当する「リアップX5」(大正製薬)が、医師の薦める薄毛治療となる。
「男性型脱毛症(AGA)の救世主」。そんな声も聞かれるプロペシア錠。処方を受けるために病院を訪れる人も増えているという。今回は、AGA相談を受け付けている病院に“潜入”した。診察内容や医療費はいかに。
CMで「薄毛はお医者さんに相談」とはいうが、病院に行くのは敷居が高いと思っている人は少なくないはず。実際に3つの病院に行ってみた。
「数カ月前から抜け毛が多くなって……」「では、AGAの薬を出しておきます」。どこも主に問診だけで、じっくりと「髪の状態を見る」こともなく、約1カ月分(28錠)のプロペシア錠が処方された(副作用の有無を見るために血液検査を行うところもあった)。診察時間のほとんどは、AGAや薬の効果・副作用についての説明で、短時間で済んだ。「プロペシア錠は副作用の発症率が低く、薄毛や抜け毛の自己申告があれば処方する場合が多い」と診察した医師の一人は言う。
驚いたのは、プロペシア錠の価格が病院ごとに大きく異なること。
3病院で薬代を比べると、最も安いところで約1カ月分(28錠)が7000円(診察料除く)。一方、1万5000円弱のところもあった(初診時、診察料除く)。ここでは2カ月目から割引を受けられるが、それでも1万円程度かかる。プロペシア錠は飲み続けないと効果が持続せず、服用をやめると薄毛の進行が再開するといわれている。長期間飲み続けることを考えると、月数千円の差は大きい。
では、なぜこれだけの差があるのか。それは、プロペシア錠を用いたAGAの治療が自由診療だからだ。健康保険が適用されず、医療費は全額自己負担。薬の価格も医療機関が独自に決められる。しかし、プロペシア錠の標準価格は28錠で7000円程度(1錠250円)といわれており、これが一つの目安になりそうだ。
プロペシア錠の製造販売元MSDのAGAに関するホームページには、AGAの相談受け付けを行う病院が掲載されており、近くの病院を検索可能。また、各病院のホームページには、薬の価格が載っている場合があり、電話で確認できることもある。病院に行く前に調べてみるといいだろう。
注)掲載している診察内容や医療費、薬代などは編集部で調査したもの。症状など診察を受ける条件によって変わる可能性がある。プロペシア錠には、有効成分であるフィナステリドの含有量別に0.2mgタイプと1mgタイプがあり、どちらも価格は同じ
MSDのAGAに関するホームページでは、AGAの相談を受け付けている医療機関を探すことができる。登録されている施設は、1万以上あるという。最寄り駅から検索することも可能だ。ホームページには、医師や患者の治療体験記なども掲載してある。
●頭皮ケアシャンプーに入っている主な有効成分
ピロクトンオラミン
化粧品などにも使われている防腐剤の一種で、抗菌作用があるといわれている。フケや頭皮のかゆみ対策などに用いられることが多い
グリチルリチン酸二カリウム
抗炎症、抗アレルギー作用があるといわれており、肌のケア用品などに使われている。こちらもフケや頭皮のかゆみ対策などに用いられることが多い
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AGAは思春期以降の男性に起き、前頭部や頭頂部の毛髪が薄くなっていく現象。額の生え際が後退するM型、頭頂部が薄くなるO型などが多い。
主な原因と考えられているのが、ホルモンの影響。男性ホルモンの一種である「テストステロン」が、5α-還元酵素の作用で「ジヒドロテストステロン(DHT)」に変化し、毛髪の成長を抑制することで起こるといわれている。ヘアサイクルが短くなり、毛髪が成長しきる前に抜けるため、一本一本が細く、全体的に薄毛に見えるのだ。ただし、AGAの場合、通常は薄毛になっても産毛は残っているため、毛髪を作る細胞がある限り、もう一度太く育つ可能性がある。早い段階からケアをし、進行を止めることが必要だ。
頭皮ケアシャンプーは必要?
「君のは頭皮を洗えるシャンプーか」というフレーズで注目を集めている「スカルプD」(アンファー)は、1本4800円と高額にもかかわらず飛ぶように売れている。お笑いタレントと組んで効果を訴求する広告を見て、「毛髪が増えるのでは」と期待して手に取った人も少なくないはず。この他にも、スカルプDと同様に“頭皮ケア”をうたうシャンプーが人気だ。
勘違いしてはいけないのが、シャンプーが毛髪の成長に直接働きかけるわけではないということ。頭皮ケアシャンプーの多くに含まれている“有効成分”は「ピロクトンオラミン」や「グリチルリチン酸二カリウム」だが、抗菌や抗炎症の目的で使われている成分で、これ自体に発毛効果はない。
一方、「頭皮がきれいなほうが育毛剤が浸透しやすい」と語る医師がいるのに加え、メーカーは「余分な脂を落とすことで育毛に良い環境がつくれる」ともうたう。ただ、その点は重要ではないと指摘する専門家もいる。
「皮脂と脱毛に直接的な関係はない」と語るのは、大阪大学大学院医学系研究科皮膚・毛髪再生医学寄附講座の板見智教授。「AGAは男性ホルモンによる作用が主な原因で、頭皮の状態には基本的には左右されない」(板見氏)からだ。「脂漏性湿疹」では、悪化すると一時的に毛髪が抜けるケースもあるが、これは皮脂が通常時より多くなった場合などに起こるもの。これが原因で薄毛になる人は、AGAに比べて少ないと思われる。この状態では、「医療機関で塗り薬などを処方してもらったほうがいい」(板見氏)。
「皮脂の落としすぎは頭皮に悪い」(東京医科大学皮膚科学講座の坪井良治教授)という意見もある。
「皮脂を洗い流しすぎると、頭皮のバリアー機能が壊れ、湿疹などの炎症を引き起こしてしまう」(坪井氏)。頭皮ケアシャンプーのなかには脱脂力や洗浄力を強化したものもあり、シャンプー後にコンディショナーやローションなどで保護しないと逆効果になることがある。メーカーも、「シャンプーの後には、コンディショナーの使用を推奨している」と話す。頭皮ケアシャンプーでも一般的なシャンプーでも、極端に洗浄力が高いものは注意が必要だ。
また、「安いシャンプーは毛根に悪影響を与える」と思い込み、高めの頭皮ケアシャンプーを買っている人もいるだろうが、「基本的に、頭皮から数ミリも奥にある毛根の細胞にシャンプーの成分は届かず、脱毛に直接的な影響は及ぼさない」(板見氏)という。一般的なシャンプーでも問題なさそうだ。
有効な薄毛治療は限定される
AGAによる薄毛の治療方法に関しては、考慮しておきたい指針がある。昨年発表された日本皮膚科学会の「男性型脱毛症診療ガイドライン(2010年版)」によると、「強く勧められる」に分類されたのは、フィナステリド内服(男性のみ)とミノキシジル外用(男性5%、女性1%)だけ。商品名でいうと、フィナステリド内服は「プロペシア錠」(MSD)、ミノキシジル外用は「リアップX5」(大正製薬)になる。それ以外の市販されている育毛剤に含まれる成分は、ほとんどが「使ってもよい」程度のため、医師が薦めるのはこの2つに絞られそうだ。
「よく効く」という“お墨付き”を得た格好のフィナステリドとミノキシジルだが、薄毛に効く原理はそれぞれ異なる。フィナステリドは、毛髪の成長を抑制する作用を持つDHTの生成を阻害することで効果を発揮する一方で、ミノキシジルは毛髪の成長を促進させる因子の分泌を促したり、血流の改善作用があるといわれている。どちらも継続的な利用が推奨されており、少なくともフィナステリドで6カ月程度、ミノキシジルで4カ月程度は様子を見たほうがよさそうだ。
買い方もそれぞれ異なる。プロペシア錠は医療用医薬品のため基本的には医師の処方が必要だが、リアップ-升気和茖盈牋緻t品のため、薬剤師のいる薬局であれば購入可能。気軽に入手できるのは魅力だ。
フィナステリドとミノキシジルは、併用することも可能。AGAの診療を行う医療機関などでは、プロペシア錠を処方し、かつリアップX5の併用を勧めるところも増えている。
主なメカニズムが解明されている男性型脱毛症
脱毛症は発症のメカニズムや症状別にいくつも種類がある。例えば、自己免疫疾患が原因の一つといわれている円形脱毛症や、真菌などの影響による皮膚疾患である脂漏性皮膚炎による脱毛症、先天性の脱毛症、抗がん剤といった薬剤の投与による脱毛、代謝の障害や過激なダイエットによる栄養障害で引き起こされる脱毛など。
なかでも男性に多いといわれているのが男性型脱毛症(AGA)。男性ホルモンの作用によって毛髪の成長の周期が通常時に比べて短くなることが主な原因と考えられている。思春期以降、前頭部や頭頂部を中心に薄毛になっていくのが特徴だ。
●薄毛の種類
男性型脱毛症(AGA)、円形脱毛症、脂漏性脱毛症、先天性脱毛症、など。
男性の場合、ほとんどがAGA。
従来は、円形脱毛症で医療機関を訪れる人が多かった。だが最近、テレビコマーシャルなどの影響で、AGAの認知度がアップし、受診者が増加しているという
●ヘアサイクルの短縮により、軟毛化、細毛化が進む
通常、毛髪は2~6年をかけて成長し、太く強くなっていくが、AGAの場合、成長期が数カ月~1年程度に短くなる。毛髪は成長途中で抜けてしまうため、十分に育っていない細くて短い毛が多くなり、全体として薄毛が目立つようになる。一度症状が出ると、年齢とともに薄毛は進行する。
検証 人気の“頭皮ケアシャンプー”発毛に効果はあるのか!?
最近注目を集めているのが、頭皮ケア用のシャンプーだ。基本的に医薬部外品のため、ドラッグストアやネット通販などで気軽に購入でき、利用している人も多いだろう。
これらのシャンプーには、“有効成分”として「ピロクトンオラミン」や「グリチルリチン酸二カリウム」などといった成分が配合されている場合が多く、「頭皮を清潔な状態に保つ」ことをうたっている。また、「頭皮に優しい」という点をアピールしているのも特徴だ。これらの頭皮ケアシャンプーは価格が高めだが、果たして一般的なシャンプーに比べて優位性はあるのかどうか、気になるところだ。
毛が生えるわけではない!!さらに使用時には注意点も
頭皮ケアシャンプーのなかには、脱脂力や洗浄力を高めているものもあり、使用後にはコンディショナーなどでケアをしないと頭皮が無防備な状態になる場合がある。そもそも「頭皮の脂が多くてもAGAにはならない」という声もある
“普通”のシャンプーでも十分!!
安いシャンプーなどでは毛根に悪影響を与えるのではと心配する人もいるだろうが、「シャンプーの成分は基本的に毛根の細胞まで届かない」(板見氏)という
専門医と共同開発をした「スカルプD」(アンファー)。薄毛に悩むお笑いタレントと組んで効果を訴求。彼らは同商品以外に頭髪治療も行っており、同社も「治療と並行して使ってほしい」と話す
育毛剤を販売する各メーカーも頭皮ケア用のシャンプーを投入。スカルプDと同様、ピロクトンオラミンなどを使った製品が多い
脂漏性脱毛症では、頭皮ケアが有効な場合も
真菌や皮脂が多すぎることが要因の一つである脂漏性皮膚炎の場合、抗真菌剤を使うことで症状が改善し、脱毛が止まるケースがある。医療機関では、脱漏性皮膚炎の治療に「ケトコナゾール」を配合したローションなどを処方することが多い。
右:ケトコナゾールの外用薬は、ローションの他クリームもある。海外ではケトコナゾール入りのシャンプーが売られているが、日本では未認可
「プロペシア錠」「リアップX5」。“お墨付き”のAGA対策は主に2つ
昨年発表された日本皮膚科学会の「男性型脱毛症診療ガイドライン(2010年版)」では、過去の論文や文献を収集し、AGAに対する治療方法の優先順位が示された。「強く勧められる」とされたのは、フィナステリド内服(男性のみ)とミノキシジル外用(男性5%、女性1%)だけ。つまり、フィナステリドの内服薬「プロペシア錠」(MSD)とミノキシジル外用に該当する「リアップX5」(大正製薬)が、医師の薦める薄毛治療となる。
リアップX5(大正製薬)
第1類医薬品
医師の処方箋がいらないOTC薬。薬剤師との対面販売に限定されるが、医療用医薬品に比べて気軽に入手できる
メカニズム
毛根の細胞などに働きかけて、毛髪の成長を促進させる因子の産生を促す。作用のメカニズムはまだ完全には解明されていないが、発毛促進や毛髪の成長期を維持する効果があるといわれている。また、血管を拡張し、血流を改善する作用もある
ミノキシジル
中等度改善 50.7%
軽度改善 38.6%
不変 6.4%
著明改善 4.3%
注)Tsuboi R,et al J Dermatol 2009 in pressをもとに編集部で作成(24週間・140例)
プロペシア錠(MSD)
主に医療機関の医師の診断を基に処方される医薬品。プロペシア錠を用いたAGA治療は保険適用外のため、全額自己負担になる
メカニズム
男性ホルモンの一種であるテストステロンは、5α-還元酵素によってジヒドロテストステロン(DHT)に変換される。DHTが増えると成長抑制因子が産生され、ヘアサイクルが短縮。フィナステリドは、5α-還元酵素の働きを阻害することでDHTの増加を抑制し、効果を発揮する
フィナステリド記者が直撃 AGA外来、実は薬の価格に大差あり!
中等度改善 37%
軽度改善 34%
不変 20%
軽度進行 2%
著明改善 6%
「男性型脱毛症(AGA)の救世主」。そんな声も聞かれるプロペシア錠。処方を受けるために病院を訪れる人も増えているという。今回は、AGA相談を受け付けている病院に“潜入”した。診察内容や医療費はいかに。
CMで「薄毛はお医者さんに相談」とはいうが、病院に行くのは敷居が高いと思っている人は少なくないはず。実際に3つの病院に行ってみた。
「数カ月前から抜け毛が多くなって……」「では、AGAの薬を出しておきます」。どこも主に問診だけで、じっくりと「髪の状態を見る」こともなく、約1カ月分(28錠)のプロペシア錠が処方された(副作用の有無を見るために血液検査を行うところもあった)。診察時間のほとんどは、AGAや薬の効果・副作用についての説明で、短時間で済んだ。「プロペシア錠は副作用の発症率が低く、薄毛や抜け毛の自己申告があれば処方する場合が多い」と診察した医師の一人は言う。
驚いたのは、プロペシア錠の価格が病院ごとに大きく異なること。
3病院で薬代を比べると、最も安いところで約1カ月分(28錠)が7000円(診察料除く)。一方、1万5000円弱のところもあった(初診時、診察料除く)。ここでは2カ月目から割引を受けられるが、それでも1万円程度かかる。プロペシア錠は飲み続けないと効果が持続せず、服用をやめると薄毛の進行が再開するといわれている。長期間飲み続けることを考えると、月数千円の差は大きい。
では、なぜこれだけの差があるのか。それは、プロペシア錠を用いたAGAの治療が自由診療だからだ。健康保険が適用されず、医療費は全額自己負担。薬の価格も医療機関が独自に決められる。しかし、プロペシア錠の標準価格は28錠で7000円程度(1錠250円)といわれており、これが一つの目安になりそうだ。
プロペシア錠の製造販売元MSDのAGAに関するホームページには、AGAの相談受け付けを行う病院が掲載されており、近くの病院を検索可能。また、各病院のホームページには、薬の価格が載っている場合があり、電話で確認できることもある。病院に行く前に調べてみるといいだろう。
注)掲載している診察内容や医療費、薬代などは編集部で調査したもの。症状など診察を受ける条件によって変わる可能性がある。プロペシア錠には、有効成分であるフィナステリドの含有量別に0.2mgタイプと1mgタイプがあり、どちらも価格は同じ
皮膚科系クリニック
形成外科の診療を得意とするクリニック。抜け毛が気になり始めた時期などの問診を受けた。副作用などの説明の後、初回はプロペシア錠が1カ月分処方された。再診時に副作用などがなければ、3カ月分の処方も行うという。
初回から1mgタイプのプロペシア錠を処方。薬の価格は、今回受診した3病院のなかで最も安かった
医療費
初診時 9800円(初診料2800円+プロペシア28錠7000円)
再診時 7700円(再診料700円+プロペシア28錠7000円)
美容・皮膚科系クリニック
一般診療の他、美容などにも力を入れている。問診と生え際のチェックを行い、初回は1カ月分のプロペシア錠が処方された。副作用を調べるため、初回と2回目に血液検査を行う。異常がなければ3カ月分の処方もするという。
1mgタイプを処方。診察料や薬代などを合わせたセット料金。再診で血液検査なしなら1万2000円
医療費
初診時
2万円(初診料3150円+血液検査料2625円+プロペシア28錠1万4225円)
再診時
1万5000円(再診料+血液検査料+プロペシア28錠)※内訳非公表
内科系クリニックAGAの相談ができる病院は、全国に1万以上
内科の他、男性向け外来なども設ける。問診を行い、初回は1カ月分のプロペシア錠が処方された。副作用などの他、シャンプーによる頭皮の手入れについても説明を受けた。副作用などがなければ、3カ月分の処方も行うという。
初回は0.2mgタイプを処方。異常がなければ、2回目からは1mgタイプに切り替えられるという
医療費
初診時
1万1550円(初診料3150円+プロペシア28錠8400円)
再診時
9450円(再診料1050円+プロペシア28錠8400円)
MSDのAGAに関するホームページでは、AGAの相談を受け付けている医療機関を探すことができる。登録されている施設は、1万以上あるという。最寄り駅から検索することも可能だ。ホームページには、医師や患者の治療体験記なども掲載してある。
●頭皮ケアシャンプーに入っている主な有効成分
ピロクトンオラミン
化粧品などにも使われている防腐剤の一種で、抗菌作用があるといわれている。フケや頭皮のかゆみ対策などに用いられることが多い
グリチルリチン酸二カリウム
抗炎症、抗アレルギー作用があるといわれており、肌のケア用品などに使われている。こちらもフケや頭皮のかゆみ対策などに用いられることが多い
>> 私はプロペシアで髪が生えました 証拠写真はこちら <<